移動用バッテリ関連
- マルチ充電器(iMAX B6 mini)
- リチュウムイオン電池 過放電防止&電圧調整その1<ZD利用>
- リチュウムイオン電池 過放電防止&電圧調整その2<TL431+コンパレータ>
- リチュウムイオン電池 過放電防止&電圧調整その3 まとめ
- 移動用バッテリ(リチュウム系)
- コンデンサを利用したスポット溶接
バランス充電用の端子は本体にもありますが、外付け用に作成
側面には、PCとの接続するマイクロUSB端子がある
コネクタはラジコンなどでよく使われるT型 2P コネクタ をアマゾンで購入して使用。バッテリ関連はすべてこのコネクタに統一しました。
リチュウムイオン電池の充電については、充電専用のICが安価(50円程度)に売られています。いくつかのICを購入して充電器を作成してみました。ICは単セル用であるため、3sや4sでパックにしているリチュウムイオンの場合はそれぞれ個別に充電して、電圧をそろえる必要があることから結構面倒になったので、ラジコン用で販売されているマルチ充電器を購入してみました。やはり、専用の充電器はバランス充電ができるので便利です。また、PCと接続して各種データも取得することもできて、各セル単位の内部抵抗も表示することができるので購入してよかった。最近は、この充電器で電圧と充電した容量をチェックしながら、85~90%の容量で充電しています。安全性や使い勝手を考えると、作るより購入したほうが良いようです。
比較的安価で、PCに接続して制御および特性図が取得できるマルチ充電器である、SKYRCのiMAX B6 miniを購入してみました。この充電器は、偽物が多いのですが、購入品は裏にホログラムおよびシリアル番号もあり、PCに接続してのバージョン情報等の取得、制御ができたので本物のようです。
仕様としては、現在通常で使う各種二次電池を充電、放電ができる。
対象電池は、LiPo(リチュウムポリマー)、LiIo(リチュウムイオン)、LiFe(リチュウムフェライト)、NiMH(ニッケル水素)、Nicd(ニッカド)、pb(鉛電池)。
リチュウム系電池は、バランス充電、ストレージ充電、放電等ができます。
ハムフェアで販売していた、3Sの300円のLiIoや秋葉原の店舗で購入したLiIoの充電、放電特性をPCに接続して取得したデータを下記に表示しました。
数年前のハムフェアで安く販売されていたLiioのデータをこの充電器で採ってみました。この電池は現用でC520等での移動運用に使っているものです。 3Sのパックになっているものです。 容量の表示は2600mAhとなっていますが実際はどうでしょうか。なお、パックに付属している制御基板は撤去してバランス充電端子を取り出して、バランス充電をしています。
図1 DISCHRGEしたあとで0.5AでBALANCE充電した結果 容量は1880mAhになっています。
図2 0.4Aの電流でDISCHARGEしている電圧の変化している状態
図3 DISCHARGE中の電流の変化 (この充電器のDISCGARGEの特徴が解る)
図4 DISCHARGEが終了したときの 電圧の軌跡が表示される。 この時の放電した容量は、1736mAhで、充電完了時より少ない。
電圧は最後の部分は電流を停止しているので、負荷がなくなって若干アップしている。
図5 再び0.5AでBALANCE充電を行う。この画面でのStutasでの各セルの電圧は無負荷の電圧なので高く表示されている。
図6 2回目のBALANCE充電終了 容量は、1830mAhとなっている。この電池の現在の実力は負荷の状態にもよるが1800mAh程度のようだ。
続いて、リチュウムイオン電池は保存にも気をつかう必要があります。この充電器には保存に最適な電圧までDISCHRGEする機能があります。STORAGEといわれるものでどの程度まで放電するのか調べてみました。
図7 モードをSTORAGEにして、電流は0.4Aに設定。
図8 STORGE終了時点 各セルの電圧は3.73v(無負荷)で770mAhの容量を消費している。この結果からフル容量の60%程度で保管するように設定されているようだ。
また、この充電器は簡易ながら各セル単位に内部抵抗が表示される。この実験で使用した電池の内部抵抗は
Cell#1 125mΩ
Cell#2 084mΩ
Cell#3 091mΩ
でした。内部抵抗がわかるほ電池の劣化状況が把握できるので便利です。特に、直列に数個を並べて使用していると劣化の進み具合にバラツキがあり、劣化の進んだ電池により全体の性能が極端に低下するためでこの内部抵抗がわかることが重要です。
リチュウイオン電池のバランスをとるために、電池を放電させて設定した電圧まで個々の電池を放電させるためにネット上にある各種回路を参考に3種類を作成してみました。
まずは、ZDの電圧を利用した過放電防止回路。 ZDは温度補償がないが、連続して個々の電池を放電するので同じ環境に近いのであまり関係はないと判断して実験してみました。3.3VのZDと通常SWダイオードでは電圧が高すぎたので、ショットキーに変更しています。ダイオードは電圧降下にバラつきがあるので、ソケットを利用して付け替えるようにしてあります。
この状態でおよそ、3.685Vで放電が停止します。
回路は簡単で、部品点数もすくないのですが、電圧の設定がシビアにできないことが欠点です。放電後は、電流を消費しないので、プッシュスイッチを押下後はそのまま放置してもOKです。プッシュスイッチを押下しないとスタートしないことは、利点でもあり、欠点でもあります。 なお、基盤パターン図と作成したものは作成中に修正したので違っています。
ZDを変えて、3セル、4セルの放電防止回路はできそうですが、シビアな電圧設定ができませんが、余裕をもった終了電圧設定には十分使えそうです。
レイアウト図は参考です。
定番のTL431とコンパレータによる回路です。
電圧の調整はシビアに設定でき、割と安価に作成できるのですが他の回路に比較すると、部品点数が多くなります。定番の回路なので動作は安定していると思いますが、放電後も電流が流れるのが欠点です。放電終了後、入力側のモニタとして、LEDをつけてたのでその部分も加算して7mA程度流れています。
作成例は、3セルのリチュウムイオン電池の過放電防止回路用です。基板上の右側にスペースがあるのは、この場所に低損失3端子レギュレータをいれて、MIZUHOピコシリーズの無線機用の電源にするためです。レギュレータの降下分を入れて、9.984Vに設定してあります。
なお、作成例ではコンデンサおよびLEDはチップをつかっています。レイアウト図は参考です。
定数を変えて、1セル用の過放電防止回路も作成しました。すでに、TL431、OPアンプをもっている場合はこの回路でもよいが、新たに部品をそろえるならば、次に紹介するリセットICを利用した回路がおすすめです。
電圧検出システムリセットIC(M51957B)を利用したもので、簡単だけど、まじめに過放電防止 (ちゃんと温度補償)を参考にしました。このIC(M51957B)は秋月電子で入手でき、基準電圧が内部にあり外付けの部品点数がすくなくすみます。だだし、ICはSOPなので変換基板を使うことになります。ハンダ付けが面倒かもしれません。
回路図にはありませんが、バイバスコンデンサはチップの0.1μをつけてあります。
作成例は、3.950Vに設定して、リチュウムイオン電池の放電につかったものです。12V等で使用する場合は、オリジナルのような定数に変更して下さい。
P-chMOSFETは、2SJ681を使っていますが、負荷電流が2A以上の場合は2SJ380などが良いと思います。
以上、3点を作成してみました。リチュウムイオン電池のセルバランスをとる方法として、追加充電(個別)、放電の方法があります。
今回は、個別放電により安全に電圧を揃えるための回路と実験をしました。複数セル用保護回路(制御回路)が搭載されている場合は、個別に放電するほうが簡単のようです。
作成としては、電圧検出リセットICを使ったものが部品点数が少なく、回路も簡単なので、これから新規に部品を集めて作成するならおすすめです。元のブログでは、電圧が回復したら復帰する例も紹介されていますが、無線機に接続するための過放電防止回路として使う場合は、この回路で自分の使い方ではOK。
プッシュSWで開始し、規定電圧放電後は消費電力がないことにメリットがある。
作成例の基板とレイアウト図および回路の定数は、変更されています。レイアウト図は参考です。
リチュウムイオンのセルバランスをとるために上記の3回路を作成しましたが、電圧を揃えるためとして利用するならどれもおなじように使えます。各セルの電圧をそろえることの頻度が少ないならば、切り替えて各セルの電圧をモニタしながら、高い電圧のセルを放電して手動でそろえても大して時間がかからない。2セル、3セルで保護回路があるパックの場合は、充電後に大幅な(20mV以上)のかい離があったら、その時に電圧を揃えることで十分。2セルで月2回程度の使用(充電)で、半年で20mVの差が発生したので、頻度はさほどないでしょう。
この過放電防止回路は、リチュウムイオン電池の4sやリチュウムフェライトの4sの過放電防止に使用しています。
移動用のバッテリは数種類を組んで使用しています。
1.リチュウムポリマーの4本直列
まずは、現在よく使用しているもので昨年のハムフェアで購入したリチュウムポリマー(3300mA)を4本直列にしたもの。でも、3300mAの表示は怪しい、2500mA程度と思われる。(100%充電はしないので実質は)充電はバランス充電のためにJSTの端子をつけています。充電は、iMax_B6 Miniでバランス充電しています。通常はトータル16vでStopさせて100%充電にならないようにしています。FT-817NDでは2時間以上は山で運用しないので5Wで運用しています。充電後の初期使用では電圧が16v近くになるので、直列にダイオードを入れて電圧を調整(低下)させ、電圧が低下した場合はダイオードをワニ口クリップでショートさせて無効にしています。重さは、電圧調整回路およびケースを含めて382gです。
ケースは、秋月電子で販売したいたものが丁度よかったので利用しました。
2.リチュウムイオンの2並列4直列
これは、2年前のハムフェアで購入したリチュウムイオン電池(3S)をばらして2P4Sにしたものです。充電はバランス充電のためにJST端子を設けています。保護回路がないので、過放電回路を外部に設けています。これも充電直後はFT-817NDの電源電圧を越えるので、1と同様にダイオードで電圧低下して使用します。重量は478gです。 セルの容量は、2,600mAとなっていますが80%充電で2000mA程度と予想するので、2本並列なので4000mA程度と思っています。
3.リチュウムフェライトの4直列
これは、インターネットで共同購入したものです。リチュウムフェライトなので、4直列でFT-817NDに丁度よい電圧(3.2v×4)になるので使いやすいバッテリです。容量も10Aあるので時間をかけて運用するときにもっていきます。ただし、1セルの重量が240gあるので、ケースと保護回路を含めると1,140gとなる。充電・放電用の保護回路は専用のものを使用しています。
最近は、1時間程度の移動運用なので持参する機会が減っていす。
4.リチュウムポリマー 3S(予備用)
以前、秋葉原のトモカ電機で販売されていた、PHS用のリチュウポリマー電池が安く販売されていたので、3本直列にした。これは、移動時にメインの電池が切れたときに使うため。10分程度の運用ができればよいとの考えです。
数年前に秋葉原の某ラジオデパート3FのT販売店で購入した18650のリチュウムイオン電池は、容量が3000mAHとなっていますが、表示の15%程度しか容量がなく使わないで保存していたものを分解(ラベルはがし)してみました。この電池はiMAX_B6で内部抵抗を見ると212mΩと198mΩ(2本セットで購入)でした。まずは全体です。
茶色のパッケージです。プラス側の電極に切れ目があるので保護回路がついています。パッケージを剥がしてみます。
パッケージの下には保護回路とプラス電極を結んでいるニッケルの薄い線がみえます。マイナス電極側に保護回路の基盤が載っています。
保護基板だけを切り離しました。この電池は結局この保護基板くらいしか使えるものがなかった。リチュウムイオン電池は中華製は要注意です。ラバルの容量はあてになりません。しっかりしたブランドで信頼のおける販売店(通販)でないと結局は高くつく。なお、保護回路付きの電池(18650タイプ)はシールを剥がすとプラス側のニッケル線とマイナス電極に半田付けが可能なようですが、熱でショートの恐れがあるのでやらないほうがよいでしょう。もし、発火すると手におえないことになります。リチュウムイオン電池の内部は水に反応するとより燃えるようです。
コンデンサを使用したスポット溶接
YouTube等で紹介されている、コンデンサを使用したスポット溶接を簡易に作成して18650のリチュウムイオン電池の3Sのパックを作製してみました。
それらしくは作製できましたが、溶接そのものはできますがバラツキが多く作業に熟練を要す感じでした。接触させる時間が手動であるためなので、ここはワンショットで通電する機能がないと機構的によくない。簡易なコンデンサを利用して手動で行うと、押し付けることと通電(溶接)が同時に行われるために強く抑えることができにくい。通電時間が長いと、その部分が溶けてしまう。このタイミングが難しかった。
コンデンサへの充電は、電圧を2.7V弱とし、電流を5A制限とした。最初は数分かかったが、以降は数回の溶接のあとで1分程度の充電するパターンで実施。500F程度の容量では、4-5回程度が1回の充電で可能でした。溶接は、ミリ秒単位での作業になるので途中にMOS-FETによるワンショットで通電する装置があるとよいのですが、コンデンサの容量が少ないので線を伸ばすこともできないので構造的には難しそう。本格的に行うなら、12Vの車のバッテリーを利用する方式がよさそうです。コンデンサ方式はあくまでの簡易方式で、使いこなすのは職人技が必要なようです。
IMax B6でバランス充電
BALACE で 充電電流を 1Aで設定 1時間半ほど経過した状態
最初は1Aで充電、その後は0.4Aで充電されている
ほぼ充電が完了して、電流は流れていない。バランスをとるために動作が継続。
Cell-1がバランスが取れていない。(内部抵抗が高く不安定になっているようだ)
2時間近く経過したが、Cell-1と2、3のバランスが取れていないので、この時点で終了とした。
このリチュウムイオンの容量はおよそ、2100mAhのようです。
IC-705では外部電源として2時間程度は使用できそう。でも、cell-1の劣化が進みそうです。リチュウムイオンに限らず、電池は使用しないで長期保存していると劣化が進むようです。
タブレット用車載DCDCコンバータの制作
移動運用では主にFT8を使用しています。日帰りでの運用の場合は、自宅で商用電源から専用のアダプタにより充電しています。移動運用が複数の日にまたがって車中泊すると、無線機(IC-705)は車内の電源により充電できますが、タブレットは端子が12Vなので車からの充電は工夫が必要です。運転を停止しているときは電圧が12v強なので直接接続しても問題はありませんが、走行時(特にエンジンブレーキがきいたとき)は14以上の電圧になるのでそのまま接続するとタブレットが電圧オーバで故障することになります。
そこで、自動昇圧降圧の機能のあるDCDCコンバータが必要になります。以前購入してあったIBM製のノートPC用の車載DCDCコンバータは11-16Vを16vに変換する機能であったので、これを改造して12vになるように実験してみた。ネットには同じアダプタを20vに変更する記事があったので参考にして、分圧の抵抗を変えて12vになるように改造。入力電圧を変えて1A程度の負荷電流を流して試験してみたら10.5Vから13.8vまでの入力電圧では12.22v程度一定していたが、14v近くなると13.4vと12vをオーバしてしまった。設置値より大きい電圧だと高めになってしまうようだ。これでは少し危険なので、このDCDCコンバータは使用しないことにした。
アマゾンを検索すると電圧電流計がついた安価な昇降圧コンバータがあったので購入して使用可能か試験を行った。注文すると翌日には到着。入力電圧を可変しながら出力電圧を12vに設定して試験すると車の電圧変動範囲(11-15v)で一定して2Aほど取り出し電圧は一定していた。このボードは切り替えボタンにより、入力、出力の電圧と電流がLCDに表示されるので非常に便利。放熱も2A弱ならばさほど温度はあがらなかった。タブレットの充電はMAXで1.7A程度で徐々に減少していくので使用には問題はないようだ。
なお、amazonのレビユーには電源投入直後に18v程度の電圧がでるとの記載があったので注意して同様の現象がでるか試験してみたが、そのような事象はおこらなかった。製品により不具合があるのかもしれませんので、使用時は事前に電源投入時の電圧の確認をしておいたほうがよいでしょう。