IC-705で山岳移動運用

FT8の設定&GPSによる時刻補正

IC-705はUSBポートが実装されて、サウンドボードやGPSも内蔵されているのでPC(タブレット)とはUSBケーブル1本だけで接続してFT8を運用できるので大変便利です。山岳移動では余分なインタフェースやPCの時刻補正のための装置も持参することもなくスマートに運用することができます。

設定のポイントは
 ■ IC-705のCIーⅤのアドレスをIC-7300のアドレスである「94」に変更して、PCソフト側ではIC-7300として認識させる
 ■ IC-705用のUSBドライバをインストールして、2ポート(PortA,PortB)のCOM番号を得る
 ■ IC-705内蔵のGPSをPC側から見えるようにするように設定する(PortBのCOM番号を使用)

 FT8の設定 

1.IC-705用USBドライバーの組み込み
 IC-705をPC側から制御できるように、ICOMからUSB接続用のドライバーをダウンロードして、ICOMが提供している説明書に則りPC側にドライバーをインストールします。

2.USBドライバの確認
 ドライバーが正常に組み込まれると、システムのデバイスドライバーの一覧で下記のようにCOMポートに番号が割り当てられます。この例では、COM-21にCI-Ⅴ用としてPortAが、そしてCOM-19にPortBが割り当てられています。ポートの表示については、各PCによっては表示が変ることがあります。COMの番号はそれぞれのPCの状況により変わります。
このCOM番号をメモしておきます。この例では、OCM-21がPC側のソフトでCAT制御として指定する番号になります。OCM-19はPortBに割り当てられ、IC-705内蔵のGPSからの信号を取得するCOM番号になり、PC側のGSPのソフトで指定するCOM番号になります。

2-1 サウンドボードの確認

 

デバイスマネージャーでIC-705内蔵のサウンドボードが認識されているかを確認しておきます。「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラ」で USB Audio CODEC がIC-705の内蔵サウンドボードになります。

 

3.IC-705のCI-Ⅴアドレスの変更
 WSJT-XやJTDXのソフトで、RIGの選定でIC-705が現在登録されていないので、仮にIC-7300としてPC側のソフトで認識させるために、CI-Ⅴ用のアドレスを変更します。ICOMの機種一覧では、IC-7300はアドレスが「94」(16進表記)になっているので、MENU > SET >外部端子 >CI-Ⅴ (取説13-14)により変更します。

*注:ソフトをWSJT-X 2.3 rc2を使用する場合は、Rigの一覧にIC-705が登録されているのでCI-Ⅴのアドレスは変更しないで、「A4」のままにしてWSJT-X2.3 rc2の画面ではRigをIC-705を選択する。(2020/11/23追記) JTDXの最新バージョンでは、まだRigの選定にIC-705がないのでIC-7300として設定することになる。

4.FT8を操作するソフトの指定

 4-1 WSJT-Xの場合 (このソフトの事例は バージョン2.1の場合の例です。*同時に使用しているFT-817の場合に2.2では動作が不安点のため2.1にしていた関係で一つ前のバージョンになっている)

IC-705がRigのリストにないので、IC-7300を選択します。この場合は、IC-705の本体でCI-Ⅴのアドレスをデフォルトではなく、IC-7300のアドレスに「94」(16進表記)変更しておきます。(3項で実施)

・タブ画面はRadioを選択します

・Rigは IC-705はないので、3項で変更したCI-ⅤのアドレスであるIC-7300を選択
・①のシリアルポートは、デバイスドライバの一覧で確認したCOM番号を選択(この例ではCOM-21)
・②ポーレートは自動で追従されるので、PCの処理能力によるが9600か19200(CI-Ⅴの上限?)あたりを選択(9600が適当か)
・CI-Ⅴの通信を③データは8ビット ④ストップビットは1 ⑤ハンドシェイクは None ⑥PPT制御はCAT ⑦モードはNone ⑧SplitはNoneとします。
・ここで、TestCATおよびTestPTTの試験をします。 正常に動作しないときは、COM番号かIC-705のCI-ⅤのアドレスとRigの選定の指定に相違があることが考えられます。

次にタブをAudioにして、サウンド関連の設定を確認にします。

サウンドボードの名称がIC-705となっているのは、PCのサウンド設定で名称を変更(IC-705)にしているためです。
通常はスピーカとマイクになっています。

・Inputは IC-705(USB Audio CODEC)を選択します。*IC-705の内蔵SBはUSB Audoi CODECとなっている
・OutPutは IC-705(USB Audio CODEC)を選択します。

 4-2 JTDXの場合

 ・設定内容はWSJT-Xの場合と同様です。

5.サウンドボードのレベル設定

 IC-705の内蔵サウンドボードの確認とソフトのレベル調整を行います。IC-705の内蔵サウンドボードの入力感度がかなりよいので、PC側のサウンド設定でレベルを下げる必要がありました。このレベル設定はそれぞれのPCにより変化しますので、IC-705側のALCとPOWのを見ながら調整することになります。PC側からの出力レベルが大きすぎると、過大入力で歪んでしまいます。
PC側で システム > サウンド で確認

5-1 システムを選択します。

5-2 サウンドを選択

初期は出力デバイスで 「スピーカー(USB Audio CODEC)、入力デバイスはマイク(USB Audio CODEC)を選択します。

次に出力の音量を調整します。 マスター音量のレベルを調整して、IC-705のALCがわずかにふれて、Powが出ていることを確認します。このレベル調整は、IC-705側を接続してWSJT-XやJTDXのソフトを動作させて行います。私のPCではWJST-XのPwr(出力レベル)が70%のときにマスター音量のレベルが9ででしたが、この値はPCにより変化します。歪んだ電波をださないためには十分なレベル調整が必要です。実際の運用では、このシステム設定でレベルを設定したあと、使用する通信ソフト(WSJT-X,JTDX)のPwr(送信出力)スライダーで調整することになります。

*この出力調整は3カ所で行うことができます。
 1.IC-705本体側の設定 (取説13-13) SET >外部端子 >変調入力 初期値は50% 上記の説明では、初期値のままでレベルを調整したときの値です。PC側のマスター音量があまりに低い場合は数値を下げて、PC側のレベルを上げた方がノイズ対策には有効。上記の例での「9」は低すぎるようです。

 2.PCの設定  設定 >システム >サウンド 上記で説明

 3.WSJT-XやJTDXのPwrのスライダー

5-3 出力デバイスの「デバイスのプロパティ」を選択して、詳細情報の設定と確認を行います。

出力デバイス名はスピーカーになっていますが、ここでIC-705に変更しておくとあとで解りやすくなります。 「IC-705」と入力して「名前の変更」をクリックします。

5-4 関連設定の 「追加のデバイスのプロパティ」をクリックして詳細情報を設定、確認をします。

 全般タブでアイコンを変更しました。IC-705に見えないがスピーカーよりはましな、四角の箱を選択してみました。
 制御情報が USB Aodio CODEC になっていることを確認

5-5 レベルの確認
 マスターで設定した値が表示されます

5-6 各詳細項目を確認

 

5-7 入力デバイスの確認と設定

デバイス名をIC-705に変更してみました。

ボリュームの調整でWSJTーXやJTDXの入力レベルが50-60%程度になるように調整します。私のPCでは28%で入力レベルが60%程度でした。

 

5-8 上記のサウンド関連の設定を変更した結果、PC側のサウンドの設定状況は下記のようになりました。
 出力、入力のデバイス名がIC-705に変更されています。

5-9 デバイスマネージャーでの確認
 オーディオのスピーカー、マイクの名前がIC-705に変更されています。


 IC-705内蔵GPSによるPC(タブレット)の時刻補正 
FT8は時刻のズレがあると正常に動作しないので、時刻の補正が重要になります。IC-705には内蔵のGPSがあるのでGPSから正確な時刻を取得して、PC(タブレット)の時刻を補正することができます。山岳移動で使用する場合はネット環境が使えないことがあるので、内蔵GSPが使えることは非常にメリットがあります。
WSJTーXやJTDXの利用するときに接続したIC-705のUSBは内部でCOMポートを2ポートもっているので、そのうちの一つ(PortB)をGPSとの通信に使用します。*PortBは取説・設定画面ではUSB(B)と記載
まず、IC-705側でGPSを使用し、その結果をCOMを通じて出力できるように設定をします。
IC-705側の設定のポイントは、USB(B)端子機能をOFFにして、GPS出力にすることです。USB(B)を使ってGPSの信号をPortB(COMx)に出力させることです。*USB(B)とはPortBのこと(デバイスドライバ一覧でCOM番号との対応を確認するとよい)

GPSからの衛星情報信号については、GLONASSを使うとより電力を使うので山岳移動では通常のGPSで十分と思われます。GPSからは時刻だけを利用するのであれば、GLONASSは必要ないでしょう。

Windows側の時刻設定ソフトは GPS時計 を使ってみました。単に時刻だけを設定するなら十分のようです。
 下記の画面は、GPS_Clockが動作して時刻補正を実施している状態です。

このソフトで 「ツール」から 通信ポートを選びます。ここでは、IC-705のPortBであるCOM19を選択しています。このCOM番号はデバイスマネージャーで確認した番号になります。 ボーレートは自動追従のようなので、あまりスピードが重視しなくてもよいので9600にしてみました。

 


IC-705用小型マイクの制作

付属のマイクも十分に小型で機能もありますが、FT-817用に作製したものと同様に小型のマイクを作製してみました。回路、CRはHM-9に準じていますが手持ちのものを使用したのですこし違っています。コンデンサマイクはストックしてあった秋月で販売されているWM-61A相当品を使用しました。2.5mmの4Pプラグは付属のマイクのようにL型を(マル信無線電機製、TOMOKAで購入<千石通商>)(ストレートタイプなら秋月にもある)を使ってみました。L型のほうが半田付けが容易のような気がします。ストレート型は狭いので大変です。ケースもストックしてあったAitendoのもの、SWも同様です。ケーブルも手持ちの2芯(単芯でよい)があったので、単芯として使用。SWの部分はカバーが取り換えられるので、適当な色のカバーを入れ替えています。
 R:33k C:0.01μ C:470pf  *RはHM-9に準拠して33kを使用しましたが、WM-61A相当品ならば2.2kでよいかもしれません。

 

 

画面保護と運搬用箱

IC-705は独特な形で液晶画面での操作が主になるので、液晶の保護とつまみ類も保護も考えなければなりません。IC-705全体を覆うために、カメラケースを使う手段もありますが、山岳移動ではザックにいれて移動するのである程度強度と防水が必要です。
 液晶と全面のつまり類の保護は、建築用の断熱材(押出法ポリスチレンフォーム)の余りがあったので使ってみました。以前に、車中泊用に使った断熱材で、厚さが20mmあったのでちょうどよかった。発泡スチロールよりは密度が高く丈夫です。穴あけは、100円ショップの「発泡スチロールカッター」を使用しました。メインダイヤルのところは、下部を最初は残しましたが、厚みがなく強度がないので最終的にカットした。周りは、テープで補強してみました。

建築用断熱材 押出法ポリスチレンフォーム(20×910×1820)の切れ端

発泡スチロールカッター と切り抜いた押出法ポリスチレンフォーム、垂直に円形に抜くのは難し。

切り抜いた断熱材を装着したIC-705 厚みが20mmあるのでつまみ類は表にでない。

運搬用の箱にいれた状態。 残っている部分に、ケーブル類、小型マイク、予備のバッテリ、6m用のV型短縮ダイポールセット等を入れている。IC-705本体とのあいだには仕切りを設置しています。


Wsjtx.logからTurboHAMLOGへ変換

 山岳移動運用では、ネット環境に接続できないことが多く、ネットに接続できたとしてもモバイル環境ではタブレット等に関連ソフトを入れてJT_LinkerによりTurboHAMLOGリアルタイムに保存することは、マシンの能力や容量により難しい。そこで、ログ管理にTurboHAMLOGを使用しているので、移動運用後に帰宅してからWsjtx.logからTurboHAMLOGにオンラインで変換できるツールを作製しました。詳細はここに掲載しています。


 

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