「この人、今日は練習で8Lの水をもってきているのよ」山頂のベンチで座りながらCQを出していると元気な50代の女性の声が隣のベンチから聞こえる。そんな練習(訓練)や家族連れが多い茨城の里山・宝篋山に登山してきました。山頂はひろく、休憩するところも多く、眺めもよいのでこんな天気にもかかわらずにぎやかだ。山頂にペアのロッキングチェア風の椅子に似たものがあり、単独行の男性がさみしくくつろいでいる。
こんな山頂では、ぼ~と風景をながめていたいが、使命感のように無線の準備を始める。すぐ前に、木の切り株があったのでポールの支えにしてアンテナをセット。開けているので今日は2mのSSBで運用することに。バンドをワッチすると3局程度聞こえている。
CQをだすが空振りの連続。となりの単独の60代後半と思われる男性から、「無線機はどれですか?」、MIZUHOのMX-2Fを見て「こんなに小さくなったんですか。昔は大きかったのに」、どうも昔友人が無線をやっていて見たことがあるようだ。その人は下山しようとしていたので、話はここで終わってしまった。
おにぎりを食べて休憩後、再度CQをだしてやっと1局と交信。
2mのSSBをあきらめて、430FMに切り替える。アンテナをセットしてワッチすると、無コールサインも含めにぎやかで、空きチャネルが見つからない。関東平野に開けた場所なのでしかたがないか。やっと空きを見つけ、3局と交信して無線は終了。
さあ、下山だ。今日は、プリンタが故障していたので紙に印刷した地図をもってきていない。GPS(eTrex30x)にいれた、カシミール3Dから切り出した地図が頼り。でも、この山はルートが整備されあちこちに標識があるので迷うことはなさそう。上りは、山口コース(1)できたので、下りは山口コース(2)とする。山頂から少し下ったところに、あたらしいトイレが整備されていた。
バイオトイレが3機、ログハウス風の洒落た建物。この隣に、山頂の電波塔に通じる道路が来ている。筑波スカイラインからの道のようだ。スカイライン側からだとすぐに来れそうだが、みんな下から登ってくる。ある程度の苦労がないと、感動もないのかな。
もっとも、冒頭の8Lおばさんのように、訓練として登り、通常1時間強程度で登れるのに、あえてルートを変えてアップダウンを多くとり、3時間以上の時間をかけて登っているグループもいる。そういえば、2月に登った雨山の途中、雨山峠で出会った夫婦は、あまりの大きさのザック(70L以上)をもっていたので、「テント泊まりですか?」と聞いたら、体がなまらないように、月1回はあえて重くして登山をしているとのこと。おもむろに、ごく一般的に家庭でつかう大きなポットを取り出してお湯を注いでいる。唖然とした。
自分にはできないし、やろうとも思わない。常に軽く、小さくを目標にしている。次の登山のために、今日の登山を訓練として行うことも必要な場合もあるだろうが、今日は今日で楽しみたい。
トイレをすませて、すこし下ると極楽寺コース、小田城コースの分岐点、小田城コースに向かい次の分岐で山口コース(2)とする。蒸し暑いが、山頂以外は木々に覆われた登山道のためそんなには暑くない。途中、500mに満たない山なのに沢あり、沢の水音が聞こえて、涼しさを覚える。野鳥のさえずりも耳に心地よい。林の中の登山道が終わると、いきなり急坂の舗装道路、舗装道路は照り返しが暑い。50mほど下ると山ユリがちらほら道路わきに咲いている。この香りは強烈。数枚写真を撮り、急坂を下る。途中、これから登る人とは3人あった。このコースは登りより下しのほうがよさそう。あとは、水田のなかの道をもとの出発点まで歩く。
帰りは、近くの「平沢官衛遺跡」により、芝生の丘にある奈良・平安時代の建物の復元(役所)を見学。昨年の「山と無線フェスティバル」で、不動峠から下って来たときも見たが、今の季節は芝生の緑が美しく、より一層建物とバックの山々が映えて目にうれしい。